車窓から見たご利用者様の行動(観察場面が変わる事でわかること)

朝の気温が18℃?
日中の気温は25℃!
ロンT1枚が最適なんでしょうが、出発時はもう1枚欲しいな…
でも職場に着いたら不要になる…
帰宅時も不要な存在のもう1枚か…

「不要の1枚」への拘りが強すぎて出社が遅れる※こばやしです。
妻からは「諦めなさいよ!」と言われますが、諦めが悪いこばやしです。

現在こばやしはサクレ江戸川67棟という障害者グループホームで勤務しています。
グループホームは生活場面の仕事なので「施設内」でご利用者様の行動観察を行いながら業務に当たっていますが、施設の外での行動も把握できることでご利用者様の特性を「再確認」できたり「新たな発見」を目にする場面があります。

これも一つの※「俯瞰」した行動観察になるのでは?と思いブログにさせて頂きました。
今回は福祉業界でご利用者様の支援にあたられている方に是非見て頂きたいと思います。

タイトルにある「車窓」とは、こばやしの自家用車のこと。
車通勤をしているこばやしは、休憩時間などに自家用車で休息を取ることがあります。
「ボケーっと」休憩を取っていると、施設の外で様々な行動をされているご利用者様を拝見します。

・玄関ポーチを30往復ほど「行ったり来たり」されるご利用者様
・喫煙所待機場所にベンチを設置したものの、何故か篠崎公園の柵に腰掛けて待機されるご利用者様
・移動支援の職員さん到着予定の2時間前から道路脇で待たれるご利用者様
・通所先から自転車で帰宅、「何度も何度も」自転車を振り返り安否確認をされるご利用者様

様々な行動特性が確認できます。
それでは、つい最近発生し始めた2件の「行動事例」について
こばやしの見立てを交えてお伝えさせて頂きます。

★K様(郵便ポストの前で待機される行動)の例

K様は8月1日で65歳の誕生日を迎えられました。
老齢年金の受給者となり、偶数月の15日に年金支給が発生することになりました。
また、介護保険の第1号被保険者になったことから介護保険料の支払いも発生することになりました。
ただK様は生活保護受給をされてるため、福祉制度の狭間による大きな混乱が生じてしまいます。

生活保護の支給:毎月月初にO区からK様口座へ支給
老齢年金の支給:2か月に1度年金事務所からK様口座へ支給
介護保険料の支払い:毎月月初に納付書が届くようになった
但し、生活保護は原則「他法優先」であるため、老齢年金支給額から差し引いて戻し入れを行う結果になる

今まで経験した事がない「O区福祉事務所」への生活保護費戻し入れの要請を受ける
今まで見たことも無かった「日本年金機構」からの解読が難しいハガキが届く
65歳になったことで居住地の江戸川年金事務所から申請書提出要請が届く
65歳になったことで江戸川区介護保険課から介護保険料支払いの納付書が届く

年金の申請書・その他手続き書類の発送元は江戸川年金事務所…
年金支給の予定表発送元は日本年金機構…
生活保護費戻し入れ書類の発送元はO区福祉事務所…
介護保険料支払い納付書の発行元は江戸川区介護福祉課…

健常者でも「制度の理解」「手続き」「問い合わせ先の確認」など困難なことが一気に発生した結果。
※こばやしが全て同行させて頂き、手続きは終了しましたが…

65歳からの年金支給を受ける事の代償に、「先の見通しが困難」になってしまったK様…
「他法優先」である生活保護制度が故に年金受給せざるを得ない状況で困惑するK様…
セーフティーネットを担うはずの生活保護制度・年金制度・介護保険制度により混乱する結果となっています。
K様の関係機関各所へ現状をお伝えし今後関係者会議を開く予定です。


★見通しが困難になってしまったK様の行動…★

「難しい手紙が届いたらすぐこばやしへ報告だ!」
「こばやしに噛み砕いて説明してもらおう!」
「今日は手紙届くかな?」「不安だな!」「ポストに届いていないかな…」
「読んでも理解できないからすぐこばやしへ渡そう!」「あぁ不安…」
こうして、サクレ7棟の郵便ポスト前で郵便物を待つ行動が確認できるようになりました。
※「予期不安」からの呪縛を少しでも早く解消すべく届いた郵便物をこばやしへ伝える。
不安の軽減・不安の解消を図るような行動を取っているように感じています。

関係者会議開催と具体的な解消へ向けての時間はもう少しかかりそうなので
K様とこばやしの約束事面談(見通しを確保するための談笑時間)を行ったところです。
☟少しでも理解が図りやすいように※書式化・視覚化しながら説明しました。

★T様(自転車のタイヤ空気圧チェックの行動)の例

T様は9月の初旬に空気圧が抜けた自転車で走行し、タイヤがパンクしてしまう事態が発生しました。
パンクの修理費用は2,000円掛かってしまいました。
サクレ職員から金銭管理補助を受けられているT様の生活を考えれば大変な出費となります。

★タイヤのパンク修理以降の行動…★
喫煙者であるT様。
サクレ江戸川の喫煙所は駐輪場の脇にあります。

喫煙所へ向かう際、喫煙後に自室へ戻る際、前輪・後輪の空気圧チェックを行う行動が生じています。
もう二度と「パンクによる出費」や「嫌な経験」をしたくない…
ABC分析(行動随伴)ではパンク予防の「負の強化」に該当するのでは?と思います。

2つの事例説明の通り、人間の行動には必ず※「動機」が働いています。
ポストの前で待機するK様は予期不安を早期解消するための「強化」行動であり
T様はパンク予防のための「強化」の行動になるでしょう。
いずれも※「不安」を解消するためという「動機」が働いていることが理解できます。

我々ご利用者様の支援にあたる者が、いち早くご利用者様の行動変化を捉えて
不安感を抱えられているご利用者様と共に不安解消に向けた行動を起こすこと
信頼関係(ラポール)につながり、やがてご利用者様が安心・安全に目標達成に向けた取り組みが図れるようになると思います。

ご利用者様が抱えている「不安」の先はどこでしょうか?
ご利用者様が抱えている「不安」の根源はなんでしょうか?
「施設内」のことでしょうか?「通所先」のことでしょうか?「医療連携」のことでしょうか?
はたまた「支援者との関係性」によるものでしょうか?…

支援者が観察の角度を変えてみたり…
通所先の状況を伺ってみたり…
医師へ医療連携のお手紙を書いてみたり…
関係機関と雑談してみたり…
それらの有効と思われる策をご利用者様へ提案してみたり。
それらの有効と思われる策をご利用者様と共に取り組んでみたり。

各支援者が自身の業務スケジュールの中で俯瞰した観察視点が持てればいいな…

な~んて!
悩ましい事があると「喫煙所」か「自身の車」で※IQOS(アイコス)を手に考え込んでいるだけ。
その結果、俯瞰した行動が部分的に見えただけ。
※IQOS(アイコス)とは加熱式たばこ

机上で難しく考え込むだけが正しい支援でしょうか?
参考書やマニュアルに沿った観察が正しい行動観察でしょうか?
ご利用者様と※偏狭の関係性になっていないでしょうか?
※偏狭=狭い範囲(俯瞰の対義)

ただ、アイコスをふかす行動がきっかけで利用者様に笑顔が戻れば…
それが正しい関係性になるのではないでしょうか?
支援の正解・不正解はご利用者様の反応によって判断できるのではないでしょうか?

ご利用者様との信頼関係を高めたいな…
どうしたらご利用者様と話ができる糸口がつかめるかな…
どのように個別支援計画の目標達成に向けた取り組みをご利用者様へ提案しようかな…

ご利用者様の支援に、「攻略法」も「テクニック」もありません。
所詮、「人間」対「人間」の関わりです。

自分に対して「興味・関心が薄い」と認識する支援者へご利用者様が心を開くでしょうか?
自分に対して「口うるさい関わりしかしない人」と認識する支援者へ悩みを打ち明けるでしょうか?
同じ「人間として魅力がある人」と認識されれば関わりが自然と広がるのではないでしょうか?

それは「支援者側がご利用者様との関わり方に課題」があるだけではないでしょうか?
支援者がアンテナを広く張って観察して行くだけのこと。
些細な変化を捉えてご利用者様へアプローチするだけのこと。
観察の方法は無限にあるはずです。

自身の観察視点を見直す・考え直す機会になれば。
支援方法アプローチの参考になれば幸いです。

社会福祉法人SHIP
サクレ江戸川67棟
サービス管理責任者       こばやし
気づきが多いから仕事に活きる  こばやし
気づきを実務に反映する     こばやし
実務反映が多いと成果につながる こばやし
今季14回目のブログ発信     こばやし

お気軽にお問い合わせください。