行動に示した「貴方の実績」ですよ!① ~日記療法~
皆様こんにちは!
毎度ブログの「前置きが長い」と言われている小林です!
今回は早速本題へ入ります…
以前の入居者様募集に関するブログにて一部紹介をさせて頂いた「日記療法」について、開始から1か月経過し、早速成果(実績)が表れはじめているので2回に分けてご紹介をさせて頂きます。
ご紹介の流れは以下の通りです。
①:★日記療法とは?
①:★対象者様の基本情報について
①:★サクレ入居以前の状況と4月以降の経過
②:★実績作りについて(月の振り返り面談)
②:★7月・8月の実績と日記の進行について
②:★「小林さんのお陰です!」「いいえ違います!」「行動に示した貴方の実績ですよ!」
※①今回のブログ記載・②次回のブログ記載
★日記療法とは?
森田療法にて用いられる「その日の行動を振り返り内省に導く」手段の一つです。
「不安」「悩み」「モヤモヤ」など「気分」「感情」によって本来取り組むべき行動が抑制されている方へ
取り組んだ実績(行動)のみを日記として記載し「内省」する。そして他者(支援者)評価を受ける。
すると!クライエントの「行動動機」が高まってくる…
支援者側は動機づけ面接法(MI)や認知行動療法(CBT)などを評価時に運用する事で、
クライエントの「気分本位」から「行動本位」へ推移してゆく経過が把握しやすくなる。
「外相整えば内相自ずから熟す」
↑森田療法についてはあまりにも有名で、福祉業界の国家試験では毎年のように出題されています。
詳しくは上記法人ブログ記事を参照下さい。
私自身も森田療法には大変お世話になった(なっている)一人です。
森田療法研究所北西所長様の動画は今でも繰り返し拝見しております。
★対象者様について…(基本情報)
対象者S様について
※対象者S様よりブログ作成の許可を頂いております。
※日記療法導入に際してS様・精神科医(主治医)の了解を得て取り組んでいます
年齢・性別:40代・男性
関係機関:相談支援事業所・精神科医・訪問看護・福祉事務所・お姉様(KEY)就労継続支援B型・サクレ江戸川
病歴:統合失調症
活動:就労継続支援B型へ週5回通所
希望:アパートでの一人暮らし・一人での自立した生活・経済的自立を目指し就労継続支援A型への移行
課題:不安(予期不安)や気分不良により通所できない。部屋にこもってしまう。
懸念:上記課題(サクレ江戸川入居前から)があるため、単身でのアパート生活について関係者は不安有。
関係者会議:アパート生活目標は応援。1年間通所・社会的繋がり(閉じこもり打破)の実績を関係者へ示す。
支援者(小林)の見立て:病歴は「統合失調症」とあるが、約3年半(支援期間中)統合失調症の特徴症状の発生無し
状態悪化時は神経症(全般性不安障害)の特徴症例が複数確認できている。
※実績とは:安定通所の実績・閉じ籠ることなく不安や悩みを関係機関と共に検討し地域生活を定着させる実績
※関係者会議開催時(令和4年4月)に小林の着任・小林が担当としてサクレでの相談支援・生活支援を行う事となる。
サクレ入居以前の状況と4月以降の経過
<入居以前の情報>
・70代の両親と同居生活
・令和元年に3年間務めた就労継続支援A型事業所を退職している。
退職理由:対人との関わり、生活リズムの不調(閉じこもり)、経済的な困窮(お酒・たばこ・お菓子)
その結果、統合失調症の陽性症状(幻覚・幻聴・妄想など)や全般性不安障害の特徴である予期不安や広場恐怖などが発生した。
最終的に年金生活の両親にお酒・たばこ代を要求し世帯困窮となる。
<サクレ江戸川へ入居>
令和元年11月にサクレ江戸川6棟へ入居される。
入居に合わせて日中活動として、同法人の就労継続支援B型事業所エスプリドゥも利用を開始した。
パンが生産活動であるエスプリドゥでは作業能力を買われ、パン作りのフライヤー担当や製パン作業などに取り組んだ。
しかし、日中活動先・グループホーム内の「対人関係」や施設規則やルールになじめず、度々日中活動の欠勤が目立っていった。
その度に、多方面(お姉様・相談支援・B型職員・グループホーム職員・訪問看護)へ足を運び、以下のような不平・不満をもらすようになった。
「あの人が嫌だ!」「あの人はこう言っていたのに!」「言っていることが違う!」「やってられない!」「もうやだ!」「ストレス」「職員さんから言ってくださいよ!」など
「あの人は嫌!担当スタッフを変えて!」などのS様の発言が繰り返されるため、ケースカンファレンスを数回開催した。
このブログを書いている小林は、当時エスプリドゥで勤務していたが、病歴にある統合失調症の症状(陰性・陽性)は確認できなかった。
一方全般性不安障害の特徴でもある「倦怠感」「刺激に対する過敏な反応」「予期不安」が多くの場面で確認できていた。
<令和4年4月以降>
★4月:我慢の限界…の月
「就労継続支援A型事業所に挑戦するも失敗!」「就労継続支援B型事業所への通所継続が困難に!」「集団生活でのストレス!」「いつアパート行けるの?」が表出
お姉様・相談員・訪問看護職員・福祉事務所CW・就労B職員・サクレ職員へ上記内容を発信し回答を求める。
多方面へ同様の発信を行ったため、多方面の関係者様からの返答齟齬に対して「混乱」が生じてしまう。
担当相談員様への不信感が発生し、相談支援事業所へ足を運び、所長様へ「担当者交代依頼」の申し出を行う。
これらの経緯から関係者会議開催の運びとなる。
その他:不動産屋へ足を運びアパート選定を実施、保証人・賃料支払・敷金準備・契約等が支障となり断念。
4月度B型事業への通所率:25%(通所予定16回・通所4回)
4月の面談小林より:「不安」から多方面へ発信を行えば、発信先から多くの「意見」や「主観」が返ってくるのでは?
「あの人とこの人が違う…」は当然のことだと思います…
関係者は皆S様の応援団ではあるが、所属も仕事も役職も役割も違うのだから…
不安を払拭するための相談自体は悪い事ではないけど…
「この不安はこの人へ!」の「相談先の見える化」を確立しましょう。と提案
★5月・6月:モヤモヤはあったけど…の月
予期不安は発生したが、「相談先の見える化」を共に定め順守・実行できたためか、大きな通所支障はなし。
5月・6月度:就労B型事業への通所率:80%(通所予定20回・通所16回)
5月の面談S様コメント:5月も「もう嫌!アパート!」の気持ちは生じたが、相談場所を整えたためか大混乱しないで済んだ…。
モヤモヤしながらも通所は結構できたかな…。もう6か月以上皆勤通所が出来ていないや…
4月みたいな事をしていたら実績どころじゃないし!皆にそっぽ向かれちゃう!と、笑顔が確認できた。
※就労B型への4回の欠勤はいずれも『火曜日』であった。
※日・月の連休時「月曜通所出来るかな?」「皆に認められたい!」「でも…」と夜勤者さんから予期不安報告あり
今回のご紹介はここまで。
「予期不安」が巻き起こす混乱を「相談場所の見える化」で軽減することができました。
「モヤモヤ」はありつつも通所頻度の大幅な向上が確認できました。
次回はいよいよ「日記療法」の取り組みと実績についてです。
関係者会議にて「実績」を求められたS様。
どのように「目に見えにくい実績」を伝えるのでしょう?
どのように「関係者様へ実績を示す」事ができるでしょうか?
実績が「見える化」出来たら心強いですよね!
実績が「見える化」出来たら評価者もS様の取り組み理解が容易ですよね!
実績が見えれば自身の「内省」も容易になりますよね!
実績が蓄積出来れば「困難時に振り返り」ができますよね!
将来希望の「アパート一人暮らし」への道のりはまだ序章ではありますが
目標を見据えて進み始めたS様の伴奏者(支援者)として一番近くの距離で応援してゆきます!
社会福祉法人SHIP
サクレ江戸川67棟
サービス管理責任者 こばやし