できる部分がふえる

生活スキルとコミュニケーション力を身につけて、ひとり暮らしを実現します

  • 「料理、洗濯、掃除は問題なくできるけど、人に相談することが苦手」
  • 「部屋の片づけは得意だけど、薬を飲み忘れてしまうことがある」
  • 「楽しそうな日中活動先が近くにないので、日中やることがない」

障害をもつ人の「できる部分」「できそうな部分」「できにくい部分」は人それぞれです。

職員は「できそうな部分」に着目して、ひとりで生活するために必要なスキルを身につけられるよう「できる部分」を増やす支援をします。

たとえば、自分の意見や希望を伝えることが苦手な人や、一方的な意見ばかりを主張してしまう人は、コミュニケーションのトレーニングをしたり、掃除や片付けに課題のある人は職員と一緒におこなったり、個別支援計画の目標にむけて取り組んでいきます。

「できにくい部分」はグループホームの職員によるお手伝いや、地域の社会資源で補完します。

「一人暮らし」の目標が叶った支援事例

統合失調症の利用者様(区分4)が、コミュニケーション力を身につけて、ひとり暮らしが実現できた事例を紹介します。

支援事例を詳しく見る

  • A様(50歳・男性)
  • 統合失調症 障害支援区分4
  • 2015年10月 サクレ江戸川に入居

ご本人が希望する長期目標 → 就労をしてひとり暮らしをすること

―課題―

入居当初から周囲と良好な関係を築くためのコミュニケーションが課題。

自分の要求を通すための不適切な発言や理解を得られない場合の癇癪などがあった。

―支援の内容―

まずは、職員との関係を築くことからはじめる。ご本人が何か問題を起こしたときに関わるだけでなく、普段から日常会話を増やし、一緒に掃除をし、通院同行、時には食事を共にするなど日々の関りを増やすことで職員に対し安心感を持ってもらえるように関わった。

そして不適切な発言や、癇癪を起こしたときには振り返り面談をおこなうようにした。怒りの感情を職員と一緒に、冷静に客観的に把握して、衝動的な感情に振り回されないようにした。

ご本人は、自分の言葉や、その時の状況を可視化することで理解しやすい性質があったため、面談をする時には、ノートや面談シートを使用。また、不適切な発言や癇癪を起こしたときの状況を詳しく分析していくと、相手に伝えたかった本当の気持ちが分かるようになってきた。どんな状況でも、相手を尊重して伝える練習を繰り返しおこなった。

結果、振り返りの面談をおこなわずとも、ご本人から「本当はこう言いたかった」という話と謝罪の言葉が出てくるようになり、コミュニケーションの自信が身についた。そして、2018年3月無事にサクレ江戸川を退去し、ひとり暮らしをされている。

自信をとりもどし、生活を豊かにします

「入退院を繰り返しているため、状態が落ち着いてから今後のことをゆっくり考えたい」

通過型とおなじく、理念にもとづいて、本人の心身の状況やペースにあわせて、個別支援計画の目標や支援の内容を決めていきます。

ただし、自分の目標や望む生活のイメージが湧かない人、行動に移せない人も多くいます。

職員は、見通しをつけやすいように1日のスケジュールを見やすく使いやすくしたり、モチベーションを引き出すための動機づけ面接をして一緒に本人の望む生活を目指します。

特長に合わせた環境調整の支援事例

統合失調症で軽度の知的障害をもつ利用者様(区分3)が、グループホームで自信をとりもどし、日中先に通所できるようになり、余暇を楽しむことができるようになった事例を紹介します。

支援事例を詳しく見る

  • A様(60歳・男性)
  • 知的障害4度 統合失調症 障害支援区分3
  • 2015年8月 サクレ江戸川に入居

ご本人が希望する長期目標 → 健康的な生活を主体的におこなえている

―課題―

長期入院からサクレ江戸川へ入居。

入居当初は入院中の管理された生活とは違い、1日のスケジュールを見通すということが難しい。

数分おきにスタッフルームへ来ては、複数回、同じ話をしたり、疑問や不安の訴えを多くおこなっていた。

―支援の内容―

入院中は決められていた1日のスケジュールを、グループホームでは自分で決め、ご本人がやるべきことを見える化した。

ご本人が鉄道好きであったため、興味を引いてもらうために週間スケジュールには、様々な列車の写真を使用したものを作成した。

スケジュールの中には、起床・掃除・洗濯・食事・服薬・日中活動・入浴・就寝などの項目があり、スケジュールの進捗に合わせて、磁石を動かすようにルールを決め、ご本人と職員でいま何を取り組んでいるのか共有できるようにした。

スケジュールが終わると「今日1日のスケジュールが終わりました」というカードを職員に持ってくることで1日のスケジュールが帰結したことを共有できるようにした。

すると、職員への過度な確認行動が減少し、見通しをつけながら生活を送れるようになり、ご自分の趣味である鉄道に関する外出に、時間を費やすことができるようになった。

1日の流れ

サクレ江戸川の利用者様の平日の過ごし方を大まかにお伝えします。

8:00 起床
8:30 朝食・服薬(食事の提供はないため自炊や宅食です)
9:00 日中活動&昼食・服薬(A型・B型・移行・デイケア・地活・一般就労etc)
15:30 通所先より帰所 自由時間
17:00 日中活動の相談・居室掃除・買い物など
17:30 入浴
18:00 夕食・服薬(食事の提供はないため自炊や宅食です)
19:00 自由時間(テレビ鑑賞・他利用者様と雑談など)
21:00 服薬・就寝