アサーティブな話し合い~相手に対しての要求の仕方を考えよう~
みなさまこんにちは。サクレ江戸川6棟世話人の繁本です。10月に入りこないだまでうだるような暑さが続いていたと思いきや一気に涼しくなり天候もぐずつきやすい季節になってきましたね。
さて今回は、私たちスタッフは利用者様同士の関係性に介入することがあります。どのように介入しているかを最近起こった事例を通じてお伝えします。
【発端】
ことの発端はとある利用者様(A様とします)が「通所先を辞めたい」などの不安を述べていたところから始まります。A様の発言が気になった私は1対1でこまかく話しを聞くことで以下のような状況・訴えが浮かび上がってきました。
「落ちついて過ごしているところに他利用者様(B様とします)がイライラした様子で共有スペースにいるのが気になり不安になる」「穏やかに過ごしたいがB様を変えるのは無理なので自分が我慢するしかない」「我慢ができなくなったら出ていくしかない」などの発言をされていました。
私からはご本人に対し
・B様は障がい特性上感情が出やすくなっており、そのためにイライラした状態が見受けられることが多いこと
・ただ、片側だけの人間が我慢するのは不公平であるし、話し合いや意思表示をすれば互いに心地よい関係が築けるかもしれないこと
・意思表示や話し合いをするのが難しいようなら仲介することができること
上記のことをA様にお伝えしたところ「話し合いをするという発想はなかった」「障がいでそうなっているのは知らなかった」「我慢するよりもそういう風(意思表示や話し合い)にできた方が良いと思う」とある程度不安が和らいだような印象を受けました。
【どのように要望を伝えるか】
ご本人から話し合いができたほうがいいという要望が見受けられたため協議のうえ、B様に対しA様の要望を伝えるための話し合いを設けることにしました。
ただ、A様はこのような話し合いの経験が少なく不安が強いことから
・どういう風な意見を話すべきかまとめられない
・そのため自分の意見をうまく伝える自信がない
等の問題も見受けられたのでアサーティブなコミュニケーション方法にのっとり「事実・感情・要求・提案」の順で整理するようにご本人に伝え、ご本人と一緒に考えたところ下記のような意見でまとまりました。
『イライラした様子で共有スペースにいることで自分はとても怖い気持ちになった。障がいの影響で感情が出やすいのは大変だと思うけど、直せる部分だけでいいから露骨にイライラするのは止めてほしい』
あとはこれをご本人とうまく言えるか練習するためロールプレイを行い、自信を深めてから実際の話し合いに望みました。
【話し合い】
話し合いではA様は緊張されていたのかたどたどしさもありましたが相手のことも思いやりながら意見を伝えている様子が見受けられました。
B様もそのようなA様の話し方を聞いて「確かにそういうことはしないほうがいいように思えた」「申し訳なかった」と話され、A様も「直せるところだけで大丈夫です」と互いに歩み寄る形で無事に話し合いが終了しました。
1週間ほどしてから上記の話し合いについてA様と振り返りを行うと「ご本人がだいぶ穏やかになって落ちついていてすごせています」「話し合いをしてよかったと思います」と話されていました。
(実際の話し合いの場面です)
【おわりに】
共同生活においては皆が心地よく過ごせるよう、そこに関わる人たちの関係性が重要であると私は考えています。
今回の一件ではどちらか一方の方の主張だけを押し通すのではなく、互いに気遣い譲り合うような話し合いの場を設けることができたことで自然とよい着地点をみいだすことができました。
今後もこのような利用者様の気持ちに寄り添った支援を提供できるようにしていきたいと思える出来事でした。