不安の解消に導いた面談技法 ~動機づけ面談の実例~
こんにちは 9月から6棟勤務となった世話人の繁本です。
勤務の初めのころは何もかもが手探りでうまくいくのか不安だらけでしたが、1か月もたつと少しずつ慣れてきたこともあり、自分なりに仕事をこなせるようになってきた実感が徐々にわいてきています。
人によって個人差はあるとは思いますが、私のように新しい場所で新たなものごとをはじめるということは、だれにとっても不安でありストレスの原因になるものですよね。
特に私たちのグループホームに新しく入居される方は、なおさら不安を感じるものだと考えています。
【『不安』を訴える利用者様】
最近サクレの別の棟から6棟へ移った利用者様がおられます。その方は週6回、決まった通所先へ通っています。
転棟してすぐに、スタッフへ最寄り駅まで行くことに対しての不安を訴えてきました。
ただ漠然と話しを聞いても不安の原因を追究できずに、お互いに困ってしまうことが想定されました。
このような不安の原因をはっきりさせるために『動機づけ面談(MI)』の技法を駆使してご本人と面談を行なってみました。
【動機づけ面談とは】
『動機づけ面談』とは『Resist(相手を正さない)』で
『Understand(対象の方の動機を理解する)』『Listen(正しく理解するために傾聴する)』ことで対象者を『Empower(勇気づけて励ます)』面談の技法のひとつです。
【実際の面談】
まず、落ちついた雰囲気で利用者様に何が不安なのかをくわしく伺うと『前の棟では駅が近くて行きやすかった』『ただ、今は駅から遠くなったし道のりの目印がなくてわかりづらいのが不安』と不安な原因の詳細が分かりました。
そこで不安を解消する手段について、ご本人とどのようなことができるかについて話し合い『地図を使う』『目印となる建物・場所をご本人と一緒に確認する』ということを決め、後日ご本人と駅までいっしょに向かうこととしました。
【駅までの同行】
当日はご本人とともに地図を見て、現在の場所と目印となりそうな建物や場所を確認しながら駅まで向かいました。
最初はご本人の戸惑う様子がみられましたが、駅に近づくにつれ『あれ(お店)が見えたらそろそろ駅が見えてくると思います』という、ご自身で目印を定めていく発言が出るようになっていました。
時間はかかりましたが、無事に最寄り駅にたどり着き、電車で目的の場所へ出発されました。
(目印となるお店を確認してるところです)
【ひとりで行けるようになりました!】
後日、ご本人に今後の通所について自信の度合いを伺うと『100パーセント行けると思います』との返答が返ってきました。
また、何が自信に繋がったかを伺うと『目印を確認しながらいけたのがいいと思いました』『わかりやすくてよかったです』と答えてもらいました。
そして、実際に今は悩むことなくひとりで自発的に通所されるようになり、『不安』を解消することができています。
(実際に駅までついたときの写真です)
世話人だけでなくご本人にも自分の問題と向き合っていただき建設的な話し合いをすることで、どのようにしたら良いのかを導き出し問題をいっしょに解決する。
このような双方向的な支援を今後も重ねていくことで、利用者様の問題解決を手伝っていけるようにしようと感じました。